雨の滴と恋の雫とエトセトラ


 雨が降ったあとの次の日、朝からきりっと清々しい青空が広がっていた。

 天気だけ見れば気持ちがいいが、前日に池谷君との接触で驚きの真実を知り、しかも頬にキスされるという不祥事にかなり衝撃を受けたことは忘れていない。

 池谷君の唇が少し頬に触れただけで、事故と思えばまだ我慢できる部分はある。

 池谷君も完全に遊びで、一種のデモンストレーションとでもいうのか、私が過去の事をどれだけ覚えているか試していたようなところがあった。

 お陰であの時の犯人が池谷君だということははっきりしたが、心の中ではどうも違和感というものを感じてしまった。

 なぜ高校生になって、あの時の事を、今更、白状する気になったのか。

 ずっと接点がなかったとはいえ、同じ学校に通っていたし、池谷君も町で私を見かけていたとも言っていた。

 私の事が気になっていたのなら、もっと早くにアクションを起こしてなかっただろうか。

 まだ幼すぎてそれだけの勇気がもてなかったのか、それとも山之内君という存在を見てしまって急に刺激を受けたからだろうか。

 そこが引っかかっていた。

 だけど人にはモテキという時期があるらしいが、もしかしてそれが今なのだろうか。

 男の子からアプローチされると、どうも自惚れの感情が出てくるようで、一応プライドがある乙女心なだけに、ちょっとそう思う自分が嫌。