雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 池谷君の顔を見れば、見上げるくらいのその身長の高さに圧倒される。

 山之内君も背が高いと思っていたが、池谷君の方がひょろりとして細いだけに余計に高く見えた。

 かっこつけて笑う池谷君に見下ろされると、私の頬は攻撃をされて身を守るふぐのように膨らんでしまう。

「その、山之内って奴には、俺なんかと違って優しく喋るんだろ。山之内が騙されてないといいけど」

「何を一体騙す必要があるのよ。山之内君から一緒に帰ろうって誘われただけで、今日初めて話したくらいなんだから」

「でも俺の顔見て、慌てて帰っちまったな。なんか俺にビビって逃げた感じにも見えた。もしそうだったらなんかちょっとショックかも」

 何がショックだ。

 実際いちゃもんつけそうな態度で迫っていったくせに。

「池谷君って、茶髪だし、制服も着崩れしてるからかかわりたくなかっただけよ」

「おいおい、外見で勝手に俺のこと決め付けるなよな。俺だってそれなりに精一杯生きてんだから」

 少しむっとしたように、怒った目つきを私に向けていた。