雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 いくら小学校、中学校が同じでも、あまり話した事がないし、いきなり名前を呼ばれて声を掛けられるなんて私の中ではありえないことだったのに、どうしてこんなことになるのか、さっぱり訳がわからなかった。

「倉持って、高校生になって、一段とかわいくなったな」

 私が機嫌を悪くしているから、お世辞を言っているだけにしか聞こえない。

「お前さ、昔から結構モテてたよな。でも頭いいし、お高くとまってる感じがして、俺の周りの友達はなかなか声を掛けにくいって言ってたぜ。それに勇気を出して告白した奴は全て振られてるから、益々高嶺の花だとか言ってたな」

「そんなの知らないわよ」

「さっきの男もお前を狙ってるんじゃないのか」

「だから違うっていってるでしょ」

「でも、すげーカッコイイじゃないか。男の俺の目からみても、あれはイケメンだ。倉持と同じ制服着てたし、もちろん頭もいいんだろうな」

「あのね、山之内君とはただ訳があって、話をしてただけなの」

「なんだよ、訳って」

「それは池谷君には関係ないことなの。ほっといてよ」

「倉持ってなんか性格きつそうだな」

「はいはい。なんとでも言って下さい」

「お前さ、もう少し、俺に優しくできないのか。俺って結構健気でいい奴だぜ」

「自分で言ってたら世話ないよね」

 私はよくも知らない相手とこんな事を言い合いしているのが不思議でならない。

 腹も立っていたこともあり、どうしても攻撃的になっていた。
 
傘が一つしかないので、仕方なく隣を歩いているが、距離感も近いこの状況で自分の感情をむき出しにするのも違和感があった。