雨の滴と恋の雫とエトセトラ



「やっぱり、そうだ。なんか久し振りだな、倉持」

 自分とは違う制服。

 やや下がり気味のズボンにネイビーカラーのブレザーを着た、茶髪の男が自分を見ていた。

 崩れた着方をしているところがちゃらちゃらした軽さが出ている。

 見たような気がするが、私が思い出せないできょとんとしていると、露骨に顔を歪めだした。

「ちぇっ、しかとかよ。やっぱその制服を着ている奴らは頭がいい事を盾にお高くとまってるんだな」

 嫌味っぽいその言い方は、性格が悪そうに思えた。

 その男の子は山之内君もチラリとみて「ケッ」と小さく吐き出していた。

「お前、勉強できるくせに、記憶力ないってどういうことよ。俺のこと思い出せないのか、小学1年の時に同じクラスだっただろ」

 小学一年の時に同じクラス?

 そんなのぼんやりとしか覚えてないし、あの時、担任の先生が事故で怪我して数週間入院となり、一時期早急措置として他のクラスに振り分けられた事があった。

 すごくバラバラになって、クラスに誰がいたのかごっちゃになって、あまり覚えてない。

 でも確かに見たことはあるような顔だった。