雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「僕は、あまり読まなかったから、よくわからないんだ。これから頑張って色々読んでみるよ。読むのって結構苦手なんだ」

 もしかしたら、私の話に無理に合わせてくれていたんだろうか。

 私ばかり、好きな話題だから、つい喋りこんでいたかもしれない。

 自分がでしゃばったことで、山之内君は気分を害してないだろうか。

 いちいちこういうことでも気になってしまう。

 恐る恐る顔を覗き込んで見れば、山之内君は笑顔になって向き合ってくれた。

 山之内君の笑顔を見るのは好きだし、その顔にどこか親しみを感じて、昔から友達のようなリラックスした気分になっていくようだった。

「もっと君の好きな本教えて欲しいな。話を聞いていたらとても楽しい」

 そういう風に言われると、益々心が軽くなって、自然と笑みがこぼれていく。

 山之内君と話していることがすごく楽しく感じられた。

 一度電車を降りて、そして乗り換える。

 住んでる街が同じなので、そのままずっと山之内君と肩を並べて歩く。

 自分達の町の駅に着くまで、ずっと一緒だった。