雨の滴と恋の雫とエトセトラ



 ホームで電車を待っている間も、山之内君の側にいることが落ち着かず、視線は向かいのホームで電車を待っている人たちに向けていた。

 自分達と同じ制服を着た生徒が、友達同士で固まったりしてるから目立っていた。

 私も向こうのホームから誰かに見られているのだろうか。

 山之内君と二人で並んでいたらどのように思われているのか、想像したら正直ちょっと優越感みたいなものが少し湧いた。

 自分でもバカバカしいと思っていても、やっぱりトキメキが狂わせてしまっているようだった。

 雨は相変わらず止まずにしつこく降り続いている。

 全てのものが雨に濡れたせいで、辺りの色をより一層濃くして暗さが深まっているように見えた。

 湿っぽく、そこに冷たい空気が混じると、肌の体温を奪われて、少しだけ肌寒く感じてしまう。

 傘の柄を持つ手先がひんやりとしてかじかんで、山之内君の隣にいたから益々緊張して強張っているように思えた。

 山之内君も静かに線路に降り注ぐ雨を見ている。