雨の滴と恋の雫とエトセトラ

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「瑛太はすでに明彦君からきいたんでしょ。教えてよ」

 瑛太は逡巡していたが、ふーっと息を吐いてはダルそうな顔を向けた。

「別に秘密でもないけどさ、まずはヒントをやるよ。自分で考える方が面白いだろ」

「うん、別にそれでもいいよ」

 私と拓登は瑛太のヒントを待った。

「『艶』っていう漢字を良く見て考えてみな」

「艶は豊かと色が組み合わさってるよね。これがヒント?」

 私が首を傾けている間、拓登はアッとすぐに声を出した。

「えっ、拓登はもう分かったの?」

「いや、わかったっていうのか、ただ連想した事があっただけ」

「何々、教えて」

 拓登は半信半疑で瑛太の顔を見ている。

 その答えが正しいのか見極めようとしているようだった。

 だけど瑛太は無表情で何もリアクションがなかった。

 寧ろ敢えてポーカーフェイスをとっているような、そんな感じにも見えた。

 素直に教えたくないのか、それとも知られるのが憚られるのか、良くわからない不思議な態度だった。