雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 千佳と明彦と別れてから、またいつもの三人で同じ電車に乗って家路へ向かう。

 私達はあまり混んでいない電車のドア側に固まって立っていた。

 この時、瑛太は機嫌が良く、絶えず笑っていた。

 拓登の秘密をばらして、私の邪魔をしてくれたというのに、この態度は信じられない。

 私が不服そうに瑛太を見つめると、瑛太はすぐに反応した。

「なんだよ、真由。すごい充実した日を過ごせただろうが。俺に感謝しろよな」

「ちょっと待ってよ。そりゃ、ヒロヤさんの所でデザート食べられたのはよかったけども、それまでが修羅場だったわ」

「ほらみろよ、俺が居なかったらデザートなんて食べることはなかったんだぜ。やっぱり俺に感謝だな」

「だから、前半は最悪だっていってるのよ。それは誰のせいなのよ」

 どこまでも、私達は平行線だった。

 瑛太と話していると、なんだか変な感情が渦巻いてくる。

 この違和感はなんなのだろうと、瑛太のネチネチした性格がすごく鼻についてイライラしていた。

 こんなのと相性がいいだなんて、千佳は何を見てそう思ったのだろうか。

 余計に不服に感じて私は瑛太とにらみ合ってしまった。

「二人とも止めなさい」

 まるで先生のように、拓登が中に入って騒ぎを収めようとする。

「だけど、拓登だって瑛太に怒りたい気持ちがあるんじゃないの。勝手に自分のこと話されたじゃないの」

「あれはあれで、それはびっくりしたけど、でもお陰でちょっと気分が楽になったところはある」

「ほら見ろよ。結局は拓登もあれでよかったっていってるじゃないか。いつまでも拘る真由がしつこい」

「拓登は良かったとは言い切ってない。それは結果であって、話される前まではやっぱり嫌だったと思う」

 また私達は瑛太に突っかかる。