雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「できた」

 最初に明彦が声をあげると、それに感化されて皆早く仕上げていった。

「それでは結果発表をお願いします。まず赤と青とではどちらがいいと思いましたか」

 これは甲乙つけがたい。

 味は違うけど、どちらもそれぞれ美味しかった。

 私にとったら、赤がクリーミーでまろやか、青が酸味がきいたキレがあった。

 これは、前者には本来のレシピで生クリームが使われており、後者はヨーグルトをブレンドしたものだった。

 皆好きな方を理由を添えていい、ヒロヤさんは真剣に聞いている。

「赤のクリーミーな方に少し苦味がきいたこのカラメルソースをかけたのがすごく美味しく感じました」

 私の意見だった。

「でも、それだったら、どこにでもある感じがしないかな? 僕は、青の方でこの爽やかに甘い桃ソースが美味しかった」

 拓登が言うと、瑛太も嬉しそうに同じ意見だと主張していた。

「私は、やっぱり赤の方に甘酸っぱいラズベリーソースがよかったかな。白に赤という見た目の色合いもいいしね」

 これは千佳だった。

「僕は、どれも美味しくて一つに絞れません」

 明彦はあっけらかんと言った。

「アキ、それじゃ意味ないじゃない」

「だって、全部美味しいんだもん。仕方ないじゃないか」

「ほんとそれは俺も思う。これは難しいわ。いっそうのこと全部出したら?」

 瑛太も無責任に発言する。

「美味しいと褒めてくれるのは有難いけど、それじゃ、効率が悪いし、全てをいつも用意できないよ」

 ヒロヤさんも困っている。

「あの、僕思うんですけど、お店の特別な色を出したかったら、もっとメリハリのある味のモノを作ればどうでしょうか?」

 拓登が言うと、皆一斉に彼を見た。