雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 まじまじと、自分の向かいにいるジーンズを穿いた、飾り気のない男の子っぽい千佳を見てみた。

「ちょっと、真由、そう見ないでくれる? 言いたいことわかってるから。でも私はこっちの方が自分に合ってるからいいの」

「まあ、それも似合ってるんだけど、一度千佳の女の子の姿見てみたいな」

「ちょっと、真由。一応これでも私は女なんだけど」

「だから、そういう意味じゃなくて」

 私達が話しているうちに、瑛太がくるりと振り返って、テーブルに何かを置いた。

 淵に赤と青のラインがそれぞれ描かれた、二種類の小さなガラスの器が目に入る。
 
 そこには白いゼリーが入ってトレイの上に結構な数が乗っていた。

「瑛ちゃん、これも置いてくれる?」

 ヒロヤさんに指示されて、瑛太が色々と運んできてテーブルに置く。

 カウンターにも同じものがそれぞれ置かれていた。

 それと評価を書き込む表になった紙と鉛筆も一緒に回ってきて、この白いデザートの試食をする準備が整った。