雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「拓登、正直に話しちまえよ。You should tell her the truth.(真実を話すべき)」

 瑛太が英語を話した。

 それくらいなら私もわかるが、咄嗟に英語が口から出てくる瑛太に私はびっくりしてしまった。

 拓登の表情も変わった。

 不意打ちをくらったように驚いて、落ち着きをなくしていた。

「ちょっと、一体どういうこと?」

「俺、もうバラしちゃおう」

「瑛太! ちょっと待てよ」

 焦る拓登にお構い無しに、瑛太は無視をした。

「いいじゃん、こうなったら真由に言うべきことは言っといた方がいい。あのさ、拓登は実は英語がペラペラなんだよ」

「えっ?」

 これは私だったが、拓登も「えっ」と軽く声を出していた。

「拓登は帰国子女なのさ。小、中とアメリカの学校で過ごして、正真正銘のバイリンガルっていうやつ」

「嘘! ほんとなの?」

 私はびっくりして拓登を見ると、拓登はバツが悪い表情で首を縦に振って肯定した。

「すごい! あっ、それで英語の話になると反応したんだ。いつか聞いたOKの発音も奇麗だったし、映画も普通に理解してたから、誰よりも早く反応してたんだ」

 私は尊敬の眼差しで拓登を観れば、拓登は手をひらひらと強く振って謙遜していた。

「だけど、なんで瑛太がそんなこと知ってるのよ」

「気づかない真由が悪い。それらしきところとか目に付くし、時々拓登がおかしいと思わなかったのか?」

「そういえば、そうだけど」

 私は振り返ってみて、拓登との会話を思い出す。