雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「じゃあ、帰ろうか」

「は、はい」

 私達二人が外に一歩足を踏み出したとき、赤と黒の傘が花のように開いた。

 雨の中、傘を持って並んで歩く。

 傘があるお陰で、私達の距離は少し離れても違和感がなかった。

 だけど私がちょっと恥ずかしくてあまり近くに寄れなかったところがあるけど……。

 緊張感が続いたまま、私はぎこちなく山之内君の隣を歩いていたときだった。

 彼が私に振り返り呼んだ。

「ねぇ、倉持さん」

 目が合って私はドキッとしてしまった。