雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「でも、明彦君は瑛太と仲がいいんだね。そっちの方が大丈夫って心配になるけど」

「それは大丈夫みたい。アキはいい友達ができたってすごく喜んでたくらい。なんでも池谷瑛太ってクラスではかなり人気のある男の子らしい。派手な風貌だけど、根は真面目だとか言ってた。それ聞いた時、なんか真由から聞いた話と全然違うなって思ったんだけど」

「そうだよね、私もそれは思った。あの時喫茶店で会ったとき、なんか大人しそうな雰囲気だったし」

 かの子も口を挟んだ。

「二人ともまだ喋ってないじゃない。瑛太は結構、きつい奴だよ。ほんともうしつこいし」

 私はうんざり気味に話すと、二人は笑っていたが、実際瑛太という人物がどういう人物なのか私もよく分かってなかった。

 そしてまた眠たそうにみのりがベルが鳴るギリギリにやってきた。

「おはよう。何話してたの? 私なんか聞き逃したことある?」

 のんびりと欠伸をしながら言うと、こっちまで気が抜けそうだった。

 みのりにもとりあえず説明してやった。

「ふーん、そうなんだ。なんか偶然にしてはすごい確率だね」

 みのりの何気ないその一言で、私も何かが引っ掛かった。

 そして先生がやってきて、皆慌てて席につく。

 いつもの朝の光景をぼんやりと見つめつつ、頭に引っ掛かった事を手繰り寄せていた。

 偶然にしてはすごい確率。

 人が集まる大きな駅の有名な本屋は、人が立ち寄る場所としてもってこいだが、あの中ですら広くごちゃごちゃと迷路のようになって、常に人で混み合っている場所である。

 同じ時間にそこへ行き、沢山の人が居る中で偶然に出会う確率ってどれくらいなのだろうか。

 そういう事もあることはあるけども、あの時本屋へ行こうと誘ったのは拓登だった。