雨の滴と恋の雫とエトセトラ


 拓登と別れて自分の教室に入れば、すでに登校していた周りの女の子達がわらわらと寄ってきた。

「倉持さん、山之内君とあんなに親しく話してすごい。やっぱり付き合ってるの?」

 いかにも羨望の眼差しを向けて、好奇心をむき出しにしている。

「ううん、友達だけど」

 私ははっきりとそういい切った。

 色々とまた質問されたけど、適当にはぐらかして自分の席に着いた。

 しつこくついてくる人には参ったけど、すぐにかの子と千佳が登校して来て、私の側に寄ると同時に蹴散らしてくれた。

「なんかまた根掘り葉堀訊かれているみたいね」

 かの子が堂々とした態度で周りの女の子達をギロリと見ると、皆たじたじとして離れていった。

 かの子はきつい部分が表面にでるのか、気の弱い女の子達は太刀打ちできそうもなかった。

 そこに、ぶっきら棒に千佳が立ってると、まるで用心棒のような強さがにじみ出ていた。

「人の恋路はそっとしておけっていうの」

 はき捨てるように千佳がいうと、過去のぐれてた部分が垣間見られるようだった。

 私はなんという頼もしい友達をもったことか。

 二人に好かれたことを有難く感じていたが、同時にこれは敵に回したら怖いタイプだとまじまじと二人の顔を見ていた。

「そうだ、昨日、アキがまたヒロヤさんの所に誘ったんだって。なんか迷惑かけてごめん」

 凄みをかけていた態度から一変して、すまなさそうに私に謝ってくる千佳のギャップがかわいく感じる。

 普段は男っぽいのに、こういうところで女の子さがでていた。

「そんな謝ることじゃないよ。ちょっとした成り行きだったし」

「それにしても、なんか色々とややこしくなってそうだね」

 かの子はすでに千佳を通して昨日の明彦の話を聞いていたみたいだった。

「ややこしいのか、そうなってよかったのか、私もなんかわからなくなってきたんだけど、あれから明彦君何か言ってた?」

「アキはちょっと抜け目のないところがあって、肝心なことは何も言わないんだ。ただ偶然出会ったから皆でヒロヤさんのところでお茶をしたことだけは言ってた。真由と山之内君の邪魔しちゃだめと叱っといたけど、あいつ無邪気なもんで、私が怒っても懲りないんだよ。ほんとごめんね、真由。もし今度同じ事があっ たら、無視していいから」