雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「うん、結構勉強はできた方だとは噂は聞いてたけど」

「どこの高校に行きたかったの?」

「確か、真由が通ってる高校だったはず」

「嘘!」

「もしかしたら、真由のその制服に憧れてたから、それで真由をみたときについ惚れてしまったとか?」

 萌は本当に良く知っていた。

 情報通ということもあるかもしれないが、私の方が却って、学校で人気のある男の子の情報を知らない方がおかしいといわれる始末だった。

 学年で目立つ生徒は誰もが噂して、自然と耳に入ってくるらしい。

 意識してなかった私には当然、話題に上ることもなく、ほんとに何も知らない事が無能のようにさえ感じてしまった。

 萌には私が言った事を誰にも言うなと何度も釘をさして、さらに瑛太と仲がいい友達の事も含め、もっと瑛太の情報が欲しいとお願いしておいた。

 萌は物怖じしない度胸で、誰とでも話せる。

 友達も多いから、何かと聞き出してくれると期待してしまった。

 本当なら自分でしないといけないのに、私はこういうとき人を頼ってしまうのはどこかでずるい部分をもってるのかもしれないと思ってしまった。

 肝心な事をはっきりとできない、臆病さがもどかしい。

 その後は他愛のない雑談で軽く一時間は話したかもしれない。

 萌には借りができたから、今度何かで埋め合わせするからと約束して電話を切った。