雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 とにかくその瑛太の写真をじっと見ていたが、黒髪のせいかこの写真からは真面目な雰囲気がした。

 ざっとそのクラスの男の子達も見てみる。

 この中で一体誰と仲がよかったのだろうか。

 誰か気軽に聞ける人はいないかと探していたが、何人かの男子は中一、中二と同じクラスになった子がいて顔は知っているけど、喋った事がないので連絡なんて自らできそうもなかった。

 女子も何人かは知っているが、それほど親しい友達でもないため、瑛太の事を訊く為に連絡するのは抵抗があった。

 しかし私は瑛太と仲がいい友達は誰だかどうしても知りたい。

 そこで、自分のクラスで仲が良かった北田萌にEメールで相談することにした。

 友達が沢山いる顔の広い萌なら、ある程度の事がわかるかもしれないと期待して、ノートパソコンを開いて机に向かい、池谷瑛太の親友が知りたい旨を伝えた。

 そして、その晩、萌から直接電話が掛かってきた。

「真由、元気してる? 学校生活には慣れた?」

「なんとか。萌はどう?」

「うん、やっぱり私立の女子高は噂に聞くほどすごいよ。でも、面白い人たちが一杯いるから、なんとか楽しんではいるけどね。ところで、池谷瑛太の事を知りたいって、一体どうしたのよ。真由らしくなくて、メール読んでびっくりしたから電話したのよ。まさか惚れちゃったの?」

「違うのよ。偶然向こうから声を掛けられてさ、付き合いたいとか言われて、それでこっちが困ってるの」

「えっ、それどういうこと?」

「だから、私もわからなくて、それで萌に池谷瑛太がどんな奴なのか知ってたら教えて欲しいなって思って」

「だけど、池谷瑛太が真由に声を掛けて、付き合いたいって、そんなのありえない」

「えっ? ありえない? どういうこと?」

「池谷って、噂では女嫌いで有名だったんだけど。ほら、顔は結構かっこいいから、モテてはいたけど、勇気を出して告白した女の子、皆振ったんだって。それもすごい睨み返されて、かなり嫌悪感たっぷりに断るから、それで女嫌いって言われてるらしい」

「女嫌い?」

「でもまさか真由に声を掛けるなんて、信じられない。真由みたいな可愛いタイプなんか特に嫌いそうな感じだったのに。男にモテル女とかはあざといものが見えるみたいで毛嫌いするみたいだよ」

「それ、誰から聞いたの?」

「まあ、池谷のこと好きな友達が何人かいてさ、そのうちの一人は割りと可愛い子だったんだけど、はっきりとそんな風に言われたんだって。確かに、その子は 自分の容姿は悪くないとは思っていたから、自分みたいなのだったら池谷が付き合ってくれるだろうとは思ってた感じはしたけど。でもまさか、真由が好みのタ イプだったなんて。池谷も高校に行ってから変わったんだ。あの子、本命の高校が落ちて、滑り止めのそこそこ良かった私立の高校も受かってたのに蹴ってさ、二次募集でランクのさがった公立高校いったらしいね」

「えっ、そうだったの?」