雨の滴と恋の雫とエトセトラ

 拓登が近づいてきて仲がよくなったとは思うが、それ以上の距離が一向に縮まらずに曖昧な部分だけが残っていることにずっと疑問を抱いていた。

 真剣に見て欲しいと言われたが、付き合ってくれとは意味してなかった。

 拓登が瑛太に刺激された部分はあるかもしれないが、その一方で拘っている部分もあった。

 それが今瑛太が指摘したことだと、ピントが合ったようにクリアになった気がした。

「でも、なぜ瑛太にそんなことが分かるのよ」

「真由が居ないところで拓登と出会ったのさ。その時奴がそう言ったからさ」

 朝の電車の中だろうとすぐに思った。

 二人は私の事で何かを話したのだろう。

 その時、拓登は話したに違いない。

 瑛太はその後を続けた。

「自分は真剣だけど、相手が自分の思うように好きでいてくれなかったら諦めるしかないって。あいつ、高校に入ってすでに何人も告られたらしいぜ。それで嫌 気がさした部分があるんだろ。真由がそういう女じゃないって事を証明しないと難しいぜ」

 瑛太の言葉には、私を納得させるキーワードがあった。

 自分もミーハーな部分を持ってるとすでに認めているだけに、これは耳が痛い。

 その時の私の顔は血の気が引いて青ざめていたかもしれない。

 瑛太はそれを面白がっているのか、嫌味っぽくニヤリとした。

「それで、真由はなぜ拓登に興味をもったんだ?」

 瑛太に質問されて、私は切羽詰って追い込まれたものを感じてぐっと体が突っ張った。