雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「知ってるだけに、無視もできないもんね。でも意地悪とかしてきたら正直に言ってよ。結構根に持ってしつこいタイプそうだから」

「大丈夫だよ。適当に付き合ってるだけだから。それよりも真由は大丈夫なのか。もしかしたら瑛太のこと気になってるとか」

「ないないない!」

 思わず手をひらひらと振って強く否定してしまった。

 拓登は笑っていた。

 だけど、とても複雑な思いがして胸がもやもやする。

 拓登は一体この状況をどう受け止めているのだろうか。

 私は拓登だけを真剣に見ていたいし、その気持ちに応えたいと思っているのになぜかすごい片思いを感じてしまう。

 これも瑛太が絡んできたからこうなってしまったようでもあり、でも絡まなかったら拓登が競争心を持って積極的にならなかったかもしれない。

 一体どうなってるんだろう。

 変な三角関係に私の頭に疑問符がポンっと現れた。

 ひたすらスナック菓子を食べている明彦は観客のように静かに私達の会話を聞いていた。

 目だけは好奇心でランランとしているのに、何も言って来ないのは様子を見ているからなのだろう。

 後できっと瑛太に報告するんだろうと思うと、なんだか鬱陶しく思えてくる。

 鬱憤晴らしに、明彦がつまんで食べようとしていたスナック菓子をさっと横取りして口に入れた。