「大変だったな」
「そうでもないですよ。お客様のクレームに比べたらしょぼい話です」

祖母は、厳しかったし、「男の子だったら」と、何度も言われたが、愛情が皆無だったわけではない。

いろいろ習わせてくれて、知らないことを知る事、それ自体は楽しいものだった。

世の子供はそうやって過ごしてると本気で思ってた。

「それで、その子とはまだ連絡とってるの?」
「いいえ・・・ヤキモチですか?」
「あぁ」

ニタニタした顔でたずれるとすかさず、肯定され、赤面する。
彼の方が1枚も2枚も上手だ。

初恋の相手はいつも遊んでいた許嫁ではなく彼の兄の方だ。
いつも勉強しているらしく、部屋からほとんど出て来なかったが、見かけると手を振ってくれた。