「髪乾かせよ」

シャワーをして、上がってくると、髪が濡れた状態でボーッとテレビを見ている綾香の髪をタオルごとぐしゃぐしゃにする。

「面倒くさいから、このままでいいです」

ため息をつき、ドライヤーと延長コードを持参し、乾かしてやる。

「鹿・・・拓也さん、マメですね。オモテになる方はやることが違いますね」

「・・・焼いているのか?」

「ちっ・・・・違いますよ。素直に関心しただけです」

あわてて否定する彼女が可愛くて仕方がない。

かつての彼女の髪を乾かしたことなど一度もない。
こんなにズボラな女もいなかったが、いたとしてもする気はなかった。
彼女と言って良いのかすらわからないかつての女たちを思い浮かべる。
自分の性欲を処理させる代わりに、品物を与えていた。
そのうち心のない自分に愛想をつかし離れていった。

「下着つけてないのか?」
「・・・」

はだけたバスローブから、肩が丸見えだ。
あわてて、バスローブを手繰り寄せる彼女が妙に可愛くて気がついたら、首筋に唇が吸い寄せられていた。

「・・鹿瀬・・さん・・・痛っ。何するんですか」

「・・・衝動的に」

理性を取り戻す為にした行為なのに涙目の彼女に再び理性が飛びそうになる。