「この人は城田商店の次期社長で、結婚したら、仕事は辞めて貰うけど、商店の仕事してもらってかまわないそうよ。お義母さんが、健在だから、家事は2人でやれば良いそうよ。顔が、綾香の好みじゃないのが、残念だけど・・・」

曲がりなりにも、夫と妻そしてその母。
このメンツでお見合い写真を見ることに、抵抗を感じるのは私だけらしい。

キキっとして、宅配便の箱を開け中の写真を取り出す。

母一押しの物件は、不幸が待っていそうだ。
6年前の写真でお見合いしようなんて相手は、ろくなのいないとは、思ったが本当にろくなのがいなかった。

「綾香さんの好みって」

鹿瀬さん、そこに反応しないで。
当然、心の声は無視される。

「鏡見れば良いわよ」
「・・・」
「綾香、私に似て面食いだから、拓也くんがどストライクよ。」

意味がわからないと言う拓也に母は追い打ちをかける。

「へぇー。初耳です」

身の危険を感じるのはなぜかしら。

「じゃあ、お母さん帰るね」
「いや、せっかく来たんだから、泊まって行けば良いのに。」

とりあえず、2人きりになりたくない。

「そのつもりだったんだと、新婚の2人を邪魔できないわ」
「大丈夫です。僕の部屋もこのマンションなので、綾香さんの部屋はお義母さんがお使いください」

にこにこ出て行こうとする母を拓也は引き止める。
今日も鹿瀬さんのお部屋にお泊り決定?
いよいよ貞操の危機だ。