「やっぱり、子ども欲しいな」
「まだ、言ってる・・・」

会計をしながらも同じ事を言う私に遥は呆れてつぶやく。

「ごちそうさま」
「こちらこそ」

毎月のランチ代の代わりに遥の実家から米を送ってもらってる。
もちろん、それじゃあ、足りないから遥の実家にもいろいろ送ってるんだけど。

「先月の羊羹喜んでたよ。でも、あんまり気にしなくて良いよ。だって」
お金払うと言う申し出は呆気なく却下され、とりあえず、季節ごとに食べ物を送ってる。

「いや、あのお米は、なかなか手に入らないものだからね。やっぱり、米は塩沢だよね。」
「そこまでマニアックなのあんたくらいじゃない。」

「あれは、一度食べたら辞められないよ」

味を思い出してうっとりする。
雅人も好きだったお米。
もったいないから、2人の時にしか炊かないお米。
別れてから一度も炊いてない。

「雅人も好きだったよ」

2人で美味しいお米を食べてる様子は、まだ、想像すると辛いけど、きっと素敵だと思う。