チャイムの音であわててドアを開けると、鹿瀬さんが立っていた。

「確認してから開けろ」

眉間にシワを寄せながら注意される。
ごもっともなご意見ですが、確認してたら居留守を使った。とは、言わずにおいた。

「宅配便の再配達頼んでたんで・・・」

と、一応言い訳してみるが、真顔でため息をつかれ、ペコペコ謝る羽目になる。

ピンポーン

「おい」

今度こそ、再配達だろうとドアに手をかける私に液晶パネルでの確認を促す。

「えっ、お母さん・・・どうしよう?えーっと」

パニクる私は、とりあえず、鹿瀬さんに靴を持たせ、風呂場に押し込む。

「いらっしゃい。急にどうしたの?」

急に来ないでほしいと言う意味を込めて言うが、いつもの鈍感力をフルに活用し気づいていない。

「荷物は?」

「今日、再配達頼んだから、もう少しで届くよ。」

「じゃあ、中は見てないのね。一緒に見れば良いからいいんだけど」

なんか意味深だ。

「お母さん、ちょっと散歩しない?私、コンビニ行きたいし」

とりあえず、母を外に出そう。
その間に鹿瀬さんにはお家に帰ってもらうように、連絡しておけば良いよね。

「何言ってるの?再配達来るんだからご迷惑でしょ。行きたいなら一人で行きなさい。」

母が外出しなければなんの意味もない。