「今日は、飲むんだな」

いつもは、ビール1本以上は飲まない。
割と強い方だけど、飲まないことにしている。
しげさんは、奥さんが待っているからと早々に切り上げ帰っていった。

口数が少なく普段話さない元教育係の彼と話すことなどなくペースも早くなる。

「飲むな。って言われてたので」

同期会で、酔いつぶれた私を泊めてくれたのが瀬良くんだった。
何をされても文句言えない状況だったのに、何もされなかった。
起きたら彼はしじみの味噌汁とご飯を用意してくれ、ずっと好きだったから付き合って欲しい。と、告白してくれた。
「ごめんなさい。瀬良くんの事よくわからないから」
口から出たのは謝罪。
こんな素敵な人、成り行きで、付き合ってはいけないと思ったんだ。
この時、既に彼に好意を持っていた。

「綾香って呼んでいい?これから俺の事もっと知って貰ってからまた告白する」

コクリと首を縦に振る。