二月になると、クラスの女子たちは何やら忙しそうだ。お菓子の本などをどんな勉強よりも真剣に見ている。それを見ている俺たち男子は期待してしまうんだ。

「ああ〜!!今年こそは一個でもいいからチョコ貰いたいわ〜」

「翔(しょう)はいいよな〜。毎年すごい数貰ってるしよ」

友達が読書を楽しむ俺に話しかけてくる。自慢ではないが、モテる方に俺は入っていると思う。でも、毎年たくさん貰っても必ず「いらない」って言って返すんだ。なぜならーーー。

「翔くん、帰ろう?」

ヒョコッと俺のクラスに顔を出したのは、リスなどの小動物を連想させるような小柄でふわふわの髪をした女子。俺の彼女の織里奈(おりな)だ。

「ああ、今行く」

俺がかばんを手にすると、「このリア充共め〜!!」と友達が叫ぶが無視をする。苦笑している織里奈にさえ見とれて、頰が赤くなってしまうんだ。

織里奈のことは、高校に入学した時から気になっていた。可愛らしい笑顔が魅力的で、狙っている男子も多かった。