隣のクラスの“礼奈ちゃん”っていう可愛らしい女の子が春哉の事を好きだって。

うわさはすぐに広まった。
皆礼奈ちゃんが春哉の事を好きだって知っていた。

多分本人の春哉も知っていたと思う───…


そんな時、あたしは気付いてしまった。






春哉が好き─────…

それが5年生の終わり頃。
クラス替えは2年に一回いだったあたしの小学校はあたしにとって悲しみの場所だった。

毎回休み時間に春哉のところにやってくる礼奈ちゃん。

その一年間、あたしは針が刺さったように痛む胸をおさえながら過ごした。

少年野球を見に行くこともなく、無邪気な春哉の笑顔を見ることもなく─────…

あたしは諦めようとした。
だから、話さないようにしたし、家にも行かないようにした。

どうせ、中学へ行ったら違うクラスになってあたしのことも忘れるだろう。

そう思っていた。