毎日スリッパを探すのに時間がかかるし、何より、あたしがこんな事されてるのを周りから“かわいそうだ”って思われるのが一番嫌。
はぁ。
悩む事が多すぎて何をしたらいいか分からない。
でも、あたしの隣にはそんな事を忘れさせてくれる春哉がいたから…もうどうでもよくなった。
あなたが笑ってくれていたら、それを見るだけであたしは幸せになれるから。
それに優也も皐月も奈美も颯馬も。
そうだよね。
…思い切ってチョコ渡したらどうなるだろう。
…なーんて考えていたら次は奈美がこっちにやってきた。
「どうしよう!優〜 颯馬にチョコ渡したいんだけど、何作ればいい!?」
『うーん…。 あっ!そうだ! 奈美颯馬とこの頃仲良いじゃん! どうなの?』
「えっとね…来週…サッカーの試合見にきてって言われたの…。」
うそぉ!?
『よかったじゃん! もうすぐくっつくね!』
「そんなんじゃないって…。」
『羨ましいっ♪』
「じゃあ、期待しちゃおっかな!」
羨ましい
羨ましい
羨ましい。
頭の中では、
周りの皆が羨ましくてたまらなかった。
あたしは何の行動もせずにバレンタインデーを迎える事になってしまった。
時間は容赦ないなぁ…。
もう諦めかけていた。

