君という名の広い空




結那と交渉を交わしてから、1週間──…

春哉にアピールとかをしている訳でもないし、告白をした訳でもない。

バレンタインデーまで、約3週間…。

あたしの周りは、あの人にあげようかな?とか、何作ろう、とかそんな話で盛り上がる季節になった。

「ゆ〜うぅ〜!智樹先輩にチョコあげた方がいいかなぁ!?」
皐月は、まだまだ頑張っている。
そういえば、この前に携帯電話のアドレスを交換して、飛び跳ねて喜んでいた。友達の幸せはあたしも嬉しくて…2人でお祝いパーティーなんてしちゃった。
『あげなよぉ!絶対喜んでもらえるよ!』
「じゃあ…あげちゃおっかな♪」
『ファイトッ♪』


皐月には頑張って、幸せになってほしいな。
…って…。自分が一番心配なんだけど!

正直あたしは焦っていた。
バレンタインデーまでに春哉と付き合わないと一生話せなくなるし…その後には…学年が上がる。

…イコール…クラス替え。
今までずっと同じクラスで、次も春哉と同じクラスになる確率なんて…

すごく少ないでしょ?



でも、今のあたしの悩みはそれだけではなかった。
結那からの嫌がらせ。
交渉したはずなのに、あの日から余計に酷くなっている。
本当に腹が立つ!