君という名の広い空



その時、頭に浮かんだ疑問。
もしかしたら、あたし…
『あたし…優也の事好きになった方が良いのかな……?』

遠くに浮かびくる、白い山を細目で見つめながら言ってみた。
最初は、言ってみただけ。
けど、優也は真剣に答えてくれた。
『何言ってんだ、バーカッ…。 春哉が好きなんだろ? じゃあ頑張れよ。 お前だったら大丈夫!』

じわ…。
心が安心感で溢れそう。優也はいつもあたしの一番欲しい言葉をくれるんだ。

そして、いつの間にか泣いていたあたしの頭を撫でてくれた。

『優也はさ…名前の通り優しいんだね。あたしは、優って名前だけど…優しくないから…羨ましい!』

『……優しくなんてねぇよっ…。 だって俺春哉が……』
ブアァァァ…

優也の声を風の音がさえぎった。
『え? ごめん、今聞こえなかった…。』
『いや、いいよ。』
『?』


あの時、優也は何を言おうとしていたんだろう。

もし、あたしが優也の言葉を聞いていたら、ここには今のあたしじゃなくて、幸せなあたしがいたんだと思う。



───…
─────…
─────────…
こうして、あたしは優也に相談にのってもらってばかりだった。