雪の降る日

「──はっ、は……」

全力疾走したので呼吸が荒い。吐き出す息が白い。肺が痛い。

息を整えてからためらうことなく神社の境内に足を踏み入れて、春花は硬直した。

あの人がいた。

「──あ。こんにち……えっ!?」

春花は踵を返した。

数歩遠ざかったところで立ち止まる。

……なんでいる!?

髪ぼさぼさ。マフラーぐちゃぐちゃ。

羞恥で顔を赤くしていると、後ろから腕を掴まれた。