雪の降る日

……行ってもいない。今降り始めたばかり。待っているなんてことありえない。

けれど、待っていたら来るかもしれない。

「りりちゃん、また今度ね」

「え? あー! 春花ー!」

春花は走り出した。

梨々奈の声だけが追いかけてくる。一瞬振り返ると、誉が首根っこを掴んでいた。

今度、二人ともにクレープを奢ろう。

マフラーを引き上げつつ、春花は神社へ駆けた。