「やーだよ!俺、返さない。記念に持っとく!」



「はぁっ、記念?!」



「そう、エイプリルフールの記念!」



「なに、それっ……?」



「まっ、いいじゃん。こんなこと、冗談だって、わかっているけれど。お前がこんなことするの可愛すぎるから。俺、記念に持っとくだけ。

なっ…、いいだろう?」、と私の顔を見て頭をポンポンと撫でた後、優しい笑顔を浮かべてふっと笑う蓮くん。



その蓮くんの笑顔ズルいよ、私のハートをくすぐるんだけど。



「じゃあ、約束して。誰にも見せないって!」



「わかった、わかった」



結局、蓮くんはそう言って返してくれなかった。



お願いだから、そのレシートは誰にも本当に見せたりしないでね──。



私は何を望もうとしていたんだろう。



いけない、浅はかだ。