だって、ロケットって凄く広いんでしょ。



だったら……、もっと大勢乗れるはずだよね。



なんで、一人なの、……こんなのおかしいよ。



もしも、ロケットにこっそりと乗せるならと……、頭の中に浮かんだのは──。



大好きなお姉ちゃん、そして蓮くん、お父さん、お母さん、それから……、それから、それから………。



まだまだ、いる。



名前を上げれば、果てしなく続きそうだ。



みんな、私にとって大切な人なんだよ。



たった一人だけだなんて、酷い話。



目を固く瞑り歯をぐっと食いしばりながら顔をぶんぶん横に振る私。



「先生、やっぱり……私はロケットには乗れません!」



だって、絶対に無理だよ。



私だけだなんて。



私は、皆と一緒にいたい。



皆と本当にいたいから。



「えっ、なんだって?!石田さん、生きたくないのかい。時間があまりないから。もう一度、良く考え直すんだ!」




「えっ……、っ……」



なぜか耳元で水滴が落ちる音がして、次の瞬間薄く目を開くと私は夢から目を覚ました。



「──夢だった、全て」