「いつもの業者じゃないんですね」
「ああそうだね。男の人かもしれないから、だれかわかりに頼もうか?」
「いえ、私が行きます」

ピザを飲み込むと、タイミングの悪い業者を呪いながら玄関のインターフォンを覗く。

ピンクのポロシャツが液晶越しに見える。
近い。カメラに近すぎるようだ。

「はい、どなたでしょうか」
『あのフロイラインって化粧会社からお届け物です』
「……業平の会社から?」
『あ、麻琴さん。俺です。津津村です』

こちらからはピンク色の胸筋しか見えません。
と思ったけど、この声は間違いない。
業平の片思い相手のジョージさんだ。


「ああ、えっとご苦労様です」

人がたくさんいる仕事場なら、確かに怖くはない。
業平の作戦勝ちだ。

初めて顔をちゃんと見るジョージさんに少し緊張しながらドアを開けた。

「二度目まして。今日は涼しいですね。俺、めっちゃ汗かいてますけど」