「本気だ。業平が本気だ。今度も、意地悪なライバルとか現れたら顔面変わるぐらい殴っちゃう!」
「そんなことしないわよ! 中学の時の話をいつまでも言わないで!」
驚いた。こんなに本気な業平は初めてかもしれない。
最近は、男女問わすライトな関係が楽しい、仕事が忙しいから恋人を大事にできそうにないとか言ってたのに。
「あの、そんなに真剣なら、私、ルームシェア先に戻るよ」
余計なことをしていると気づいて、なんだか申し訳なく思えてきた。
私の存在が、一番いらないのではないか。
「……麻琴ちゃん、私以外の男の人と結婚できるの?」
「できないけどさあ、私も結婚するなら玉の輿に乗りたいけどさあ。業平の邪魔はしたくないもん」
「貴方のお金持ちの基準って?」
「雨が防げる家、食べ物に困らない安定した収入、たまにおやつが食べたい」
「玉の輿の基準が低いっ」
漫画みたいにこける業平に大丈夫か手を差し出した。
「駄目よ。麻琴ちゃんなら、総理大臣とか石油王ぐらい落とせるんだから!」



