可愛いけど、駄目。
今夜は逃がしてあげない。

こうなったら業平の気が変わらないうちに既成事実か形だけでも結婚してやる。

テレビに映ってるジョージさんを見て、少し切なくてそして嬉しくなった。

彼の未来が倖あらんことを願う。

テレビを消して、映った自分の顔を見て笑う。

うるせえ、玉の輿。


私は、真実の愛を手に入れた。
玉の輿より、大事な気持ちを手に入れたんだ。



「でも、少し……惜しかったよね。三人でやっておけばよかったかな」

「貴方は合いの手入れるだけだけどね」

私のプロレス技を受けながら、苦しそうに絞り出す声。
まだ印鑑を押すのを渋るようだ。

なのでプロレス技で絶対に落としてやる。


なぜ私が、彼をプロレス技で脅しながら結婚に持ち込んだかというと、
ただ単に、可愛いおねだりがわからないから。

うるせえと跳ねのけた玉の輿よりも、幸せな明日が待っている。

なので私は技をかけていた手の力を、さらに強めたのだった。


Fin