玄関のドアが開く音がして、リビングでお父さんを待っていた私の手が汗で濡れる。



言う事いっぱい考えた。


八神くんが諦めないでいてくれるから、私も諦めない。



リビングに入ってきたお父さん。


視界に入ってきたのは赤くなったお父さんのほっぺたで……。


「どう、したの……?」


私の言葉にお母さんは慌てて氷を持ってきた。


お母さんが理由を聞いてもお父さんは無言のままで。

お父さんはゆっくりソファに座った。



「彼、変わったやつだな」

「……え?」

「今時、他人にそこまでする人はいない」

え?

もしかして……


「そのほっぺた八神くんにっ」

「違う。彼は助けてくれたんだ……莉子との約束だと言ってね。どうやら見た目で判断し過ぎて彼の本当の姿を見ていなかったようだ」