さっきの人がいなくなり、私は再び顔を上げた。
原田、来ないなぁ。
それから何人か生徒が来た後、見覚えのあるピンクの傘が見えた。
顔が隠れていて誰かわかんないけど、あの長い髪の毛はきっとそうだ!
ピンクの傘を閉じて顔を上げた女の子は…
「菫!」
やっぱり莉子だった。
私に気付いた莉子は1度だけ傘を振って水を飛ばし、私の所まで走ってきた。
「こんな所でどうしたの?」
「原田待ってるの」
って言ったら変かな…?
そう思って、私は苦笑いをした。
「そっか、原田くん明日連れてくるって言ってたもんね」
「うん…」
昨日の昼休みに電話をしたから、莉子もこの事は知っている。
「私も一緒に待つよ」
「え、悪いからいいよ」
「いいのいいの」
迷惑かけたくなくて断ったのに、莉子はニッコリ笑って隣に来てくれた。