昨日の電話で八神が“無理やり連れて行く”って言った。



原田、私の電話に1回も出てくれなかった。




やっぱ怒ってんのかなぁ。



ふと、人影が見えた。



一瞬ドキッと胸が高鳴ったけど、そこにいたのは原田じゃなくて…全然知らない人だった。




なんだ。違う人か。




私は視線を足元に移動させ、傘を見た。



あ。


傘の尖っている先端の所に、小さな水たまりが出来ていた。


結構降ってたもんなぁ。



「……」


原田に会いたくて、昇降口で待ってた。って言ったら笑われるかな?



“会いたい”って言ったら誤解を招くけど、心配だもん。


変な意味じゃなくて、心配だから、一目見たい。


そう。それだ。


心配だから一目見たい。



自分に言い聞かせるようにもう1度心の中で呟いた。