「ねぇ莉子、今日あいつが一緒に帰るの知ってた?」

「んーん…」


首を横に降る莉子を見て、私は肩を落とした。



莉子も知らないんじゃ仕方がない。



莉子の下がった眉毛を見ると、我慢して帰るしかないって思う。



「帰ろっか。莉子、八神の所に戻ってあげて」



そう言った私を心配しながらも、莉子は八神の元へ走っていった。



時折振り返っては私を見る莉子。



それに私はニッコリ微笑んで手を振る。



はぁ〜。



「本屋ならあっちだぞ?」


「うるさい!!」


効果があるとは思わないけど、私は原田をキッと睨んだ。



絶対私で遊んでるよ…。



はぁ〜。



私はもう一度ため息をついた。




こんなやつと一緒に帰るだなんて…



でもあの困った莉子を見ると断れないし、振り返る姿が小動物みたいで可愛いって思ったりするわけであって…。




可愛いは罪だ。