キミと僕の日常

結局、誰にも聞けないまま数日が経った。
看護師さんに聞いてみようかとも思ったけれど、なんとなく妙な詮索をされそうで断念した。

「あれ、野田先生?」
「原田さん。どうしたんですかこんな所で?」
「散歩です。リハビリの先生がね30分ぐらいだったらいいですよって言ってくれたんで少し気分転換に。昨日はあっち行ったから、今日はこっち。先生は休憩?」

「昼ごはんです。でも1人ですか?言ってくれればご一緒したのに」
「大丈夫ですよ。看護師さんには言って来たし、それにみんな忙しそうだから」

「そんなに気を遣わなくていいんですよ、僕なんて雑用係だから。それに原田さんの事も知りたいし」
「私?」

「はい。僕はどんな時も患者さんに寄り添える医者で在りたいと思ってます。だからまずは患者さんを知ることから始めないと」
「先生は素敵なお医者さんなんだね」

「まだまだスタートラインに立ったばかりです。早く一人前になって原田先生のような医者になりたいです」
「本当に憧れてるんだね」

「尊敬してます、原田先生の事」
「その気持ちなんとなく分かります」
「じゃあ僕たち一緒ですね。さぁそろそろ帰りましょう送ります」