自分の鼓動が煩いぐらい聞こえて、先生にも聞こえてるんじゃないかって思う。

「寒くない?」

そう聞かれ顔を上げると至近距離で先生と目が合ってしまった。
恥ずかしいのに、見つめられ目が逸らせない。

「ふふ。緊張してる?」
「だ、だって……」
「そんなに構えられると僕まで緊張する」

フワリと優しい笑顔で先生はそう言った。

「先生でも緊張することあるんだね」

「そんなの当たり前でしょ、片思いだと思っていた恋が叶って、愛しい人が僕の隣で笑ってるんだから。緊張って言うより嬉しいって言ったほうが合ってるかな」

「先生…」
「さぁ、帰ろうか。風邪ひくといけないから」

このままキスするのかなって少し期待していた自分に気付いた。
でも先生とならキスしてもいいかなって思う。
だって先生が大好きだから。