「初めまして、佐伯結衣です」

僕は懐かしいなと思ったけれど、彼女にしてみれば間違いなく初めましてだった。

「最近は調子いいみたいですね」
「はい、高校になってからは問題なく元気にしてます」

柔らかく笑う彼女の笑顔はどこか儚げだった。

自分の気持ちに気がつくのに、時間はかからなかった。
彼女が外来にくる日はどこかソワソワして彼女の顔が見たくて、診察が終わってもお大事にって別れの言葉がなかなか言えなくて…
仕事の合間には今頃何をしているんだろうと考えてしまう。

「彼女のことが好き」そう思った。