「…食べ辛いなら帰るけど」

そんな雰囲気を出しているワケじゃないのに笹君は遠慮がちに尋ねてきた。

「なんで？大丈夫だよ。むしろなんかゴメンね。笹くん何も食べてないのに…これ食べる？お箸付けてないし、もうお腹いっぱい」

「患者のご飯もらう医者ってどうなの（笑）いいよ、佐伯が食えよ。さっさと食って寝ろ」
「食べて寝ろって…それしかしてないし」
「いいんだよ、今はそれで」

「今はか。ねぇ笹くんは何科のお医者さんになるの？」
「なんだよ突然」
「いいから。聞かせてよ笹くんの夢」
「はぁ？夢って…そんな突然言われても」
「いいから。ね？」
「…夢っていうか…やりたい事でいいか？」
「うん」

「何科の医者になるかはまだ決めてないんだけど、とりあえずいっぱい勉強してこれからの社会に役立つ人間にはなりたいと思ってる」