キミと僕の日常

「さーえき。久しぶり、どう調子?ってあれ?あんま良くない?」
「…笹くん。久しぶりだね」

精一杯笑ったつもりだったのに彼にはお見通しだった。
笹くんは心臓外科での研修が終わった今でも時々こうして会いに来てくれる。

「熱あんの?結構高いじゃん」

おデコに手を置きそう言った笹くんの顔は世間話をしに来た同級生じゃなく、立派な医者の顔つきだった。

「呼吸だって辛いんだろ?中岡先生か原田先生は知ってんの、この事」
「…まだ言ってない。ナースコールしようか迷ってたとこ」

「ったく、誰に気遣ってんだよ。病院だぞここ」そう言いながら素早くボタンが押された。
「原田先生は?いたんだろ、ここに」
「お昼まではね。…氷枕取りに行ってから戻ってこないんだ」
「…そっか。辛かったな」

笹くんがナースコールで詳しく説明したおかげで看護師さんと数分遅れて中岡先生がやって来た。