そう言って部屋を出たはずなのに、ゆうちゃんは戻ってこなかった。

20分が過ぎた頃、代わりに看護師さんが少し申し訳なさそうに入ってきた。

「原田さんお待たせしました。氷枕、敷きますね」

頭を浮かせ置かれた枕は冷たくて気持ちが良かった。

「原田先生、急に予定が入ってしまって…戻るのにしばらくかかるかもしれないって。なので何かあればいつでも言って下さいね」

それだけ伝えると看護師さんは部屋を出た。
仮眠したとは言え昨夜は夜勤で、おそらくこの部屋で寝ていたのも2時間ほど…それでも患者さんに何かあれば対応するのが当たり前。

他人の命を預かり働くゆうちゃんは本当にかっこいいと思う。