「なに?ゆうちゃん」
「何って準備だけど」
「何の?」
「何もしなければウィルスは死滅しないよ」
「そうです。結衣ちゃんにはこちらを用意しました。じゃん!!」

看護師さんによって準備されていた注射器を見て結衣の視線が止まった。

「…じゃんって嬉しくないんだけど」
「大丈夫。針刺すの得意だから」
「そう言う問題じゃないんだけど…」

注射の一本や二本で泣き喚くような事は無く大人しく腕を差し出す結衣は医者の立場からすると非常にありがたい。

…文句は忘れずに言うけれど。

「痛くない注射針が開発されるのっていつ?」
「さぁそれは僕らには分からない。痛かった?」
「痛くない訳ないじゃん!」
「よく頑張りました。もし気分が悪くなったり辛いようならコールしなよ」