「…迷惑だったらごめんなさい」
「何?」
「怖いの。夜が来るのが」

夜が怖い…患者さんからよく聞く話である。

「この病院のどこかにゆうちゃんがいるって思っても日勤だったりお休みの日だったり…ゆうちゃんがいない夜が怖い」
「…結衣」
「真っ暗な中に吸い込まれそうで、目が覚めなかったらどうしようって…」

涙を流しそう訴える結衣は本当に儚くて今にも消えてしまいそうだった。

布団を元に戻し、結衣の枕元に寄り涙を拭いた。

「僕ももう少し早く気づくべきだった。結衣の不安な気持ちに。でももう大丈夫。許可は取ってきた」
「…許可?」

するとタイミングよくノックの音が響き、扉が開いた。