その日の午後、医局に戻るとパソコンの前でため息をついた中岡の後ろ姿があった。

「お疲れ」
「ん、あぁお疲れ」
「どうだった結衣?」

袋からおにぎりを取り出しながら問いかけた。

「あぁ。肥大兆候も見られるし、心不全もDに移行した。今のところ胸水はないけどそれだってまたいつ溜まるか分からない」
「そうか…」

「もうすぐ3年だぞ?なんで回ってこないんだよ!!」
「中岡、落ち着いて」
「……悪い」

「僕らが焦っても何も変わらない。それよりもその時のために医療体制を整えておくことの方が大切だよ」

中岡は無言のまま部屋を去った。
僕だって中岡と同じ気持ちだ。

これ以上は待てない…タイムリミットはすぐそこまで来ていた。