他の患者さんはすっかり寝入ったころ、結衣を病室へ戻し眠るまで手を繋いでいた。
つられて僕まで軽く寝落ちしたのは内緒にしておこう。

「吉岡師長、結衣もう寝てますので。すみません遅くまで連れ回して」
「本来ならば始末書だけでは済まないですけど」
「分かってます、じゃ後お願いします」

医局へ戻り、事の経緯を報告しようと思えば中岡はすでに帰っていた。

結衣の気持ちに寄り添ってあげることはきっと僕だけにしか出来ない。

結衣の心の避難先として僕はいつだってここにいる。
誰にも言えないけど、ゆうちゃんには話すねって。

それは夫しての僕だけの特権だと思う。